「だいすきなひとのすきなひと。」中編  作・葉月まな ・江原ひな(えはらひな)  24歳。裕子の同僚。  一見揺れやすく見えるが、意外と勘が良い。 ・江原鳴海(えはらなるみ)  21歳。美鈴・朝子の同級生。ひなの異母妹。  周りの感情に敏感すぎるきらいがある。 ・佐藤美鈴(さとうみすず)  21歳。BL漫画家(原作担当)。  好きじゃないものはうまく扱えるテクニックを持っている。 ◆20XX年7月12日   デート中。携帯ばかりを気にしている鳴海。 ひな   なーるちゃん! 鳴海   わ、ひなちゃん・・・!びっくりした。 ひな   ふふ、買ってきたよー!次のお店行こう? 鳴海   おかえり。さっきのワンピース? ひな   うん!丈短めだから、なるちゃんが着てもロングスカートにならないよー? 鳴海   むー、ひなちゃんわたしとそんなに身長変わらないでしょ! ひな   変わるよー!150cm前半と後半の差は大きいよ? 鳴海   そんなことないもん、数字にしたらほんのちょっとの差だよ! ひな   そうやって小っちゃいって言われることを気にしてむっとしちゃうのが前半組。 鳴海   むむむ。 ひな   ふふ、かわいいー! 鳴海   もう、そうやってすーぐいじめる・・・あ。   ラインの通知音。一瞬表情が変わる鳴海。何食わぬ顔で携帯を取り出し返信する。 ひな   最近、なるちゃん通知オフにしてないんだねー 鳴海   え? ひな   前はグループラインがうるさいからってずっとオフにしてたでしょ? 鳴海   あー・・・うん。 ひな   珍しいなあって思って。 鳴海   やっぱすぐ返信しないと、困ったりすることもあって。友達にも言われるし。 ひな   あはは、普通はそうだよね。 鳴海   そうなのかな。 ひな   わたしは別に気にしないけど、そういう人もいるよね。 鳴海   結構ね。 ひな   好きだなー 鳴海   え? ひな   なるちゃんのそういうとこ。っていうか、なるちゃんのこと。 鳴海   ひなちゃんはいっつも脈絡がない。そういうところ、わたしもすき。 ひな   へへ、知ってる。・・・あ、なるちゃん、わたしクレープ食べたい! 鳴海   いいね、クレープ!1階にあったよね? ひな   うん!あ、でもアイスもいいな〜、久しぶりに31行きたーい!なるちゃんは? 鳴海   うーん、どっちでもいいよ? ひな   言うと思ったー!あー、悩むー悩んじゃう! 鳴海   どっちもいく? ひな   え!お腹冷えちゃう! 鳴海   ふふ、ひなちゃんすぐお腹壊すからなあ。 ひな   でも行く!アイス食べて、クレープ食べる! 鳴海   平気? ひな   平気。アイスへの愛のほうが、上だもん! 鳴海   だと思った。   ふふっと顔を見合わせて笑う二人。 ひな   よーし、じゃあ31でベリーベリーストロベリー食べてー、クレープはおかずクレープにしよーっと!     ひなの言葉の途中で、鳴海の携帯が鳴る。 鳴海   あ・・・電話。ひなちゃんごめん、ちょっと出てくるね。 ひな   え?うん!いってらっしゃーい! 鳴海   ついでにお手洗い、いってくる!   バタバタと慌ただしくその場を去る鳴海。   その背中を複雑な表情で見送るひな。 ひな   ・・・やっぱり・・・・・・ ひなM  わたしには、大好きな人がいる。江原鳴海、21歳大学生。女性。      通称、なるちゃん。わたしの恋人。わたしの妹。      なるちゃんとわたしの関係は、もうすぐ5年になる。      この5年、びっくりするくらい穏やかにゆるやかに時間が過ぎた。      わたしたちの口癖は「知ってる」。自分自身よりも敏感に相手のことがわかってしまう。      それはわたしたちが血を半分だけわけた姉妹だからというわけではなく      二人で築いてきた5年間、ううん、21年間という時間があるからこその"わかる"だ。   小走りで戻ってくる鳴海。表情が少し暗い。     鳴海   ひなちゃん、お待たせ。 ひな   おかえり。 鳴海   あの、ごめんね!友達が、なんかどうしても困ってるみたいで、・・・その、 ひな   えー、せっかく久しぶりのデートなのに? 鳴海   ご、ごめん。ごめんね、今度絶対埋め合わせ―― ひな   そんなのいらないの。今、なるちゃんと一緒にいたいのに。 鳴海   あ・・・・・・ ひな   なーんてね! 鳴海   ! ひなちゃん・・・? ひな   わたしとはいつでも一緒にいれるもん!そんな気にしないで行っておいで。 鳴海   う、うん・・・ごめんね。 ひな   その代わり、今度アイスとクレープ食べに行こ? 鳴海   うん!もちろん! ひな   パンケーキも入れて、三軒くらい回るからね! 鳴海   ひえー、そ、それはひなちゃんのお腹がもつかなあ・・・? ひな   1日断食して臨むから!それよりほら、急がなくていいの? 鳴海   うん・・・ ひな   今更気にするような仲じゃないでしょ! 鳴海   ありがとう。じゃあ、行ってきます。 ひな   うん。・・・あ、ちょっとだけ待って。   ひな、鳴海を正面からぎゅっと抱きしめる。 鳴海   え、ひなちゃん・・・? ひな   (小さくつぶやく)・・・ごめんね、少しだけ。 鳴海   ・・・ん、なあに? ひな   ううん・・・   10秒ほどそうしていたあと、ぱっと体を離し笑顔で鳴海を見つめるひな。 ひな   ん!充電完了!行ってらっしゃい、なるちゃん。 鳴海   (ぎこちなく微笑んで)うん、じゃあ、行ってきます。 ひなM  なるちゃんは、嘘が下手だなあ・・・・・・      ううん。わたしたちは、お互いのことをわかりすぎてしまっているから      たとえなるちゃんが巧みな嘘をついたってきっと気づいてしまっただろう。      「知ってる」は、すごくむずがゆくて誇らしくって、でも今は少し、痛い。      ここ最近、なるちゃんの中で何かが変わったのを感じていた。      勘違いだったらよかったのに。そんなことは絶対にないことをわたしは知っている。 ◆20XX年7月3日   朝子と鳴海に隠し事をされていたことを拗ねている美鈴。 一見いつも通りに見えるものの、その表情は明らかに曇っている。   美鈴に腕を引かれるまま着いてきた鳴海。朝子が見えなくなるとぱっと腕を離され、困り顔。 鳴海   ・・・美鈴ちゃん? 美鈴   ごめん、なるちゃん。さっきの間違いだった。書類提出、今日じゃなかったや。 鳴海   うん、知ってる。 美鈴   ごめん。 鳴海   なんで謝るの? 美鈴   ごめん。 鳴海   ・・・美鈴ちゃん、まだ怒ってる? 美鈴   別に。 鳴海   でも、さっきまでと全然違う。 美鈴   違くないよ。 鳴海   わかるよ。ごめんね。 美鈴   ・・・・・・ 鳴海   わたしも朝子ちゃんも、悪気はなかったの。 美鈴   ・・・でも美鈴、傷ついた。 鳴海   (小さくため息)ごめんね。 美鈴   美鈴、ほんとにほんとに傷ついた。朝ちゃんとなるちゃんが美鈴に隠し事してるなんて! 鳴海   ごめんね、でも―― 美鈴   謝って済ませようとしないで! 鳴海   本当にそういうつもりじゃなかったの。ごめんね。   気まずい沈黙。 鳴海   ・・・美鈴ちゃんが傷ついてるのは、違う意味で、だよね。 美鈴   どういうこと? 鳴海   大丈夫? 美鈴   なにが。 鳴海   落ち込んでるんだろうな、って。 美鈴   別に。あんなことでほんとに落ち込むわけないじゃん。ただの恋バナだもん。 鳴海   ただの恋バナ、か・・・   少しの間。鳴海、ためらいがちに、 鳴海   でも、美鈴ちゃん泣きそうだよ。 美鈴   そんなことない!      ・・・そういって、なるちゃんは美鈴に同情してるだけでしょ。美鈴のことかわいそうって思ってるだけじゃん。 鳴海   そんなことないよ。ほんとに美鈴ちゃんのこと心配してるよ。 美鈴   嘘だよ。なんにもわかってないくせに! 鳴海   わかってるよ。美鈴ちゃんが朝ちゃんのことすっごく好きなんだって、わたしずっと前から知ってたよ。   美鈴、驚きのあまり沈黙する。 鳴海   ご、ごめんね。でも、ずっと一緒にいたら・・・わかっちゃうよ。 美鈴   ・・・なるちゃん。そのこと、朝ちゃんに言った・・・? 鳴海   え?言わないよ。当たり前だよ。美鈴ちゃんがその気持ち大切にしてるってことくらい、わたしにもわかるよ。 美鈴   ・・・・・・よかったぁ・・・ 鳴海   美鈴ちゃん・・・ 美鈴   この気持ちはね、美鈴にとって絶対の秘密なの。美鈴は、朝ちゃんのこと、ほんとに・・・   好き、といいかけて、言いよどむ美鈴。その目は涙に濡れている。 鳴海   大丈夫。わかるよ。 美鈴   大切なの。ずっとずっと、大切にしてきたの。だから絶対に壊しちゃいけないの。 鳴海   わかる。わかるよ、美鈴ちゃんの気持ち。 美鈴   ・・・なるちゃんって優しいよね。でも、誰にでも優しいって、誰にも優しくないってことだよ。知ってる? 鳴海   優しくなんかないよ。 美鈴   じゃあ、なるちゃんも美鈴にひとつ秘密をちょうだい。 鳴海   え? 美鈴   人には言えない秘密。 鳴海   そ、そんなの、ないよ。 美鈴   じゃあ、好きって言って? 鳴海   え? 美鈴   言ってよ。美鈴のこと好きだって。   間。鳴海、美鈴から目を逸らしながら観念したように小さくつぶやく。 鳴海   ・・・好きだよ、美鈴ちゃんのこと。 美鈴   なるちゃんは、美鈴のことが好き? 鳴海   好きだよ。 美鈴   じゃあ、美鈴の言うこと、聞いてくれるよね? 鳴海   え・・・? 鳴海M  その日から、美鈴ちゃんのわたしへの要求はどんどんエスカレートしていった。      急な呼び出しからはじまり、好きという言葉の強要、挙句の果てはキスの真似事まで。      完全なる同情だ、こんなの。わたしは自分でそうわかっていた。わかっていたのに、突き放せなかった。      美鈴ちゃんに好きというたびに、ひなちゃんの顔が浮かぶ。      わたしは罪悪感に耐え切れず、ひなちゃんを避けるようになっていた。      でも、ずっとこのままではいられない。今日こそ、きちんとひなちゃんに話をしよう。      そう心に決めたというのに――珍しくひなちゃんから連絡が返ってこない。      明日は平日。ひなちゃんは休みの前日以外では絶対にお酒は飲まない。      今日はもう家にいるはずなのに・・・ ◆20XX年8月10日   酔っぱらったひなをタクシーに乗せ、ひなの自宅へと連れ帰ってくる美鈴。   ひなと連絡がつかず心配になった鳴海と鉢合わせする。 鳴海   !!・・・美鈴ちゃん? 美鈴   あれぇ、なるちゃん? 鳴海   な、なんで美鈴ちゃんがここに――って、お姉ちゃん・・・?!   眠っているひなを見て、様々なことに気づいてしまい途端に冷静な表情になる鳴海。 美鈴   ひなさん、酔っぱらっちゃって大変だから、連れて帰ってきたの。 鳴海   美鈴ちゃん、お姉ちゃんと知り合いなの・・・? 美鈴   うん!仲良しなの。 鳴海   ・・・そうなんだ。 美鈴   なるちゃんは?こんな時間にどうしたの? 鳴海   わたしは・・・別に。たまにこうして、お姉ちゃんとこに泊まりにくるの。それだけだよ。 美鈴   へえ、そうなんだあ。仲良いね〜? 鳴海   お姉ちゃん、放っとくとご飯食べなかったり洗濯物放置したりしちゃうから。 美鈴   なるちゃんって優しいよね。 鳴海   世話焼くのが好きなだけだよ。わたしが好きだからしてるの。 美鈴   ねえ、なるちゃん。 鳴海   なあに、美鈴ちゃん。 美鈴   美鈴のこと、好きって言ってよ。 鳴海   どうしたの、いきなり。 美鈴   いいから、好きって言ってよ。今ここで。   鳴海、ちらっと隣で眠っているひなを見やり、ためらいがちに。 鳴海   ・・・すきだよ。美鈴ちゃんのこと。 美鈴   ひなさんよりも? 鳴海   え? 美鈴   ひなさんよりも美鈴のほうが好き? 鳴海   お、お姉ちゃんは家族だもん、美鈴ちゃんとは違うよ。 美鈴   家族?本当にそれだけ? 鳴海   なに言ってるの、美鈴ちゃ―― 美鈴   美鈴、知ってるよ。なるちゃんとひなさんのこと。 鳴海   ・・・ひなちゃんは、お母さんは違えど家族だよ。家族と友達は一緒じゃないでしょ。 美鈴   嘘。 鳴海   嘘じゃないよ。 美鈴   じゃあ美鈴のこと、ひなさんより好き? 鳴海   ・・・うん。 美鈴   言って。 鳴海   え? 美鈴   ちゃんと口に出して言ってよ。ひなさんより美鈴が好きって。   いつものように、眉間に皺を寄せ美鈴から目を逸らしながら苦しげに呟く鳴海。 鳴海   お姉ちゃんより、美鈴ちゃんのほうが好きだよ。 美鈴   ひなさんはなぁんにも関係ない。ただの家族。 鳴海   お姉ちゃんは、なにも関係ない。ただの家族だよ。 美鈴   美鈴のこと、大好きだよ。 鳴海   美鈴ちゃんのこと、大好きだよ・・・ 美鈴   だめ。ちゃんと目を見て言って。 鳴海   !   一瞬、泣きそうな顔になる鳴海。それでもぐっとこらえて、美鈴を真っ直ぐ見つめる。 鳴海   美鈴ちゃんのことが、好きだよ。   美鈴、にっこり笑って 美鈴   ふふ、ありがとなるちゃん。ちょっと元気になった。 鳴海   う、ううん。 美鈴   なるちゃんがそんなに美鈴のこと大切に思ってくれてるなんて感動しちゃった! 鳴海   そんな、・・・そんなの当たり前だよ。 美鈴   ごめんね。 鳴海   え? 美鈴   ひなさんね、酔っぱらうとすーぐなるちゃんの話になるんだあ。      なるちゃんのこういうとこが可愛くて、とか、こういうとこが好きで、とかさ。      だから美鈴、全部わかってたんだ。 鳴海   ・・・そんな・・・ 美鈴   でも、なるちゃんが美鈴のこと好きって言ってくれて嬉しかったよ。ありがと。 鳴海   ・・・・・・うん。それで美鈴ちゃんが少しでも楽になるなら。 美鈴   なるちゃん、美鈴に好きって言うとき、絶対目合わせてくれないの。知ってた? 鳴海   え? 美鈴   それが悔しくって、だからこーんな回りくどい意地悪しちゃった。ごめんね。 鳴海   回りくどい、意地悪・・・? 美鈴   でも、おかげですっごい嬉しかったよ。美鈴、ちょっとだけ救われたかも。 鳴海   ・・・美鈴ちゃん。こんなことで本当に美鈴ちゃんは嬉しいの・・・?      こんなことして、美鈴ちゃんは本当に救われるの?わたしにはそう思えないよ。 美鈴   そんなの、美鈴が決めることでしょ。なるちゃんには関係ない。 鳴海   よくないよ。ちゃんと朝ちゃんに気持ちを―― 美鈴   うるさいッ! 鳴海   ! 美鈴   美鈴だって、何度だってそうしようとしたよ・・・!でも無理だった!      美鈴は、朝ちゃんのこと、本当に大切なの。なるちゃんには一生わかりっこない!   言いながら涙を流す美鈴。強気な美鈴がはじめて見せる涙に、はっとする鳴海。 鳴海   ・・・ごめん。ごめんね、美鈴ちゃん。      でも、美鈴ちゃんが踏み出す気がないなら、わたしはもう付き合えないよ。 美鈴   え・・・? 鳴海   わたしにはこれ以上、美鈴ちゃんを苦しめることはできないから。      美鈴ちゃん、今日は帰って。明日また、学校でね。 ◆20XX年8月10日   前日、泥酔して帰宅したひな。家に帰ったあたりから記憶がない。   気性の時間を告げるアラームに起こされ、目覚める。   ひな  ん・・・あれ?わたし・・・ 鳴海  ひーなちゃん!おはよう! ひな  なるちゃ・・・あれ?昨日は確か―― 鳴海  ひなちゃん、連絡つかないから心配になってきてみたら、酔っぱらって爆睡してるんだもん。     お化粧落としたり、お洋服脱がせたりするの大変だったんだからね? ひな  え!ご、ごめん・・・あ、でもちゃんと帰れたんだぁ・・・よかったあ・・・ 鳴海  珍しく泥酔してたね。あんなひなちゃんみたの、はじめて。 ひな  うーん、強いお酒飲んでないんだけどなあ。体調悪かったのかなあ。 鳴海  もう、気を付けてね。 ひな  はーい。   むくっと起き上ったひな。キッチンにいる鳴海の元へ行き、後ろからそっと抱きしめる。 ひな  わー、フレンチトースト! 鳴海  ひなちゃん、好きでしょ? ひな  うん、好き! 鳴海  一人だと朝ごはんすーぐ抜くから、わたしがいるときくらいね。 ひな  ふふ、なるちゃんの作るフレンチトースト大好き! 鳴海  ならよかった。   少しの沈黙。 鳴海  ひなちゃん、あのね・・・ ひな  ん?どうしたの? 鳴海  うーん。 ひな  なあに? 鳴海  ・・・やっぱり、なんでもない。 ひな  ん。そっか。 鳴海  聞かないの? ひな  なるちゃんが言わないって決めたなら、きっとそうするのが1番いいんだと思うから。 鳴海  信用してくれてるんだ。 ひな  当然でしょ。 鳴海  へへ、ひなちゃん大好き! ひな  わたしの方がだーいすき! 鳴海  そんなことないよ、絶対絶対、わたしの方が好きだよ? ひな  負けないよ?      顔を見合わせ、どちらからともなく笑い出す二人。 二人 ねぇ。 ひな  あ、 鳴海  ひなちゃん、先にどうぞ。 ひな  なるちゃんからいいよ。 鳴海  いいの!どうぞ。 ひな  ・・・わたしね、なるちゃんになら例えめちゃくちゃに傷つけられたっていいよ。 鳴海  ひなちゃん。 ひな  わたし実はね、なにがあってもずーっとなるちゃんのことを好きな呪いにかかってるの。 鳴海  なあに、それ。 ひな  へへ。 鳴海  ひなちゃんのバカ。 ひな  バカかなあ。 鳴海  ・・・わたしも、同じこと言おうとしてたよ。 ひな  ふふ、知ってた。 鳴海  あ、やば、焦げちゃう! ひな  あー!なるちゃんのうっかり者ー!! 鳴海  あはは、黒コゲだ。 ひな  でも、きっと粉砂糖かけたらおいしいよ。 鳴海  なにそれ、それもう砂糖の味しかしないよ? ひな  でもいいの。なるちゃんの愛と砂糖の味!それでじゅーぶん。 鳴海  もう、ひなちゃんほんとバカだなあ。 ひな  へへ、知ってる。 ←前編 Home 後編→ inserted by FC2 system